絵画作品の鑑賞「越前和紙」日本伝統の紙
3月16日に北陸新幹線が敦賀まで延伸し、首都圏から福井県までの移動が飛躍的に便利になりました。テレビのニュースやコマーシャルでも大きく取り上げられ、この地の伝統産業や観光資源の豊富さにあらためて驚かされました。
そのなかの一つに、高知県の土佐和紙、岐阜県の美濃和紙と並び、日本三大和紙に数えられる「越前和紙」があります。約1500年という全国の和紙のなかで最古の歴史をもつといわれ、楮(コウゾ)・三椏(ミツマタ)・雁皮(ガンピ)などの植物の靭皮繊維を主原料に、手漉きを中心に作られる日本伝統の紙です。
和紙といえば、お祝いを包むための熨斗袋や便箋、書道の半紙などが思い浮かびますが、強靭で独特の光沢をもつ越前和紙は、横山大観、加山又造、平山郁夫といったそうそうたる日本画の巨匠たちが愛用したことでも知られ、またシルクスクリーンやリトグラフ、木版画などの版画用紙としてもよく用いられています。
なんと、あのピカソも自身のリトグラフに越前和紙を使ったといわれているほど。
当ギャラリーで現在ご紹介している中島千波画伯のシルクスクリーン版画『櫻樹瑤春』は「鳥の子」という用紙に刷られていますが、これも越前和紙の一つです。
絵画作品を鑑賞するときこうした部分も意識してみると、また新たな発見があるかもしれませんね。