前田青邨筆『紅白梅』/大山忠作筆『翔鶴』
家で楽しむ小さな個展 フォーラムkaya 特選逸品館
前田青邨筆『紅白梅』日本画15号
本作で描かれている鳥は尾羽が赤いことから緋連雀(ヒレンジャク)と思われます。体長18センチ程度と雀より少し大きく、「冠羽」とよばれる頭頂部の長い羽毛が特長的です。
冬の渡り鳥として知られ、百羽以上の群れで行動することが多いようですが、ここでは一羽、満々に咲き誇る梅花に紛れ込むかのように枝に留る姿が描かれています。
左右上下に伸びる紅白梅の枝、華麗な色彩で繊細に描写された花、芳しい梅の香に陶酔しているかのようにその場にじっと佇む緋連雀と、対象の一つ一つが青邨画伯の惜しみない愛情と秀抜の画技によって捉えられ、画面から醸し出される早春の息吹に鑑賞者はただただ見蕩れるばかりです。
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略歴
1885年 岐阜県中津川村(現・中津川市)に生まれる。
1901年 梶田半古に師事、「青邨」の号を貰う。
1914年 日本美術院同人に推挙される。
1920年 延暦寺より「根本中堂落慶供養図」を委嘱される。
1930年 「洞窟の頼朝」(重要文化財)で第一回朝日文化賞受賞。
1951年 東京藝術大学主任教授となる。
1955年 文化勲章受章。
1973年 高松塚古墳壁画模写総監督を務める。
1977年 逝去。
大山忠作筆『翔鶴』日本画6号
鶴は、古くは「たず」と呼ばれ、平安時代以降に「鶴」と呼ばれるようになったといわれています。また長寿を象徴する吉祥の鳥として、古来日本人に親しまれてきました。
現在は北海道東部を中心に生息し、本州ではほとんど見られなくなりましたが、日本画、特に花鳥画には欠かせないモチーフであり、横山大観画伯、加山又造画伯といった錚々たる巨匠たちも好んで作品の中に描いています。
大山忠作画伯と言えば、鯉図の名手というイメージがありますが、描きたいと思ったものは、風景であれ、人物であれ何でも描くという姿勢を生涯貫き通しました。
脚を揃え、翼をいっぱいに広げ黄金色の空高く舞う二羽の鶴。新雪のような純白の地に頭頂の丹(朱)と、首や羽根の黒が奏でる絶妙な彩色美はいうまでもなく、柔らかな羽根や羽毛の質感を感じさせながら飛翔するその姿は心憎いばかりに優美です。
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略歴
1922年 福島県二本松市に生まれる。
1946年 第2回日展初入選、以来連続入選。
1952年 第8回日展で初特選、同時に白寿賞・朝倉賞を受賞。
1961年 日展会員となる。
1973年 前年の改組第4回日展で第29回日本芸術院賞を受賞。
1986年 日本芸術院会員に就任。
1992年 成田山新勝寺聖徳太子堂壁画を完成。日展理事長に就任。
2006年 文化勲章受章。
2009年 逝去。