「ビアズリー展」に行ってきました

皆さまこんにちは。フォーラムkayaです。先日、春とは思えない汗ばむ陽気のなか、三菱一号館美術館で開催中の「ビアズリー展」に行ってきました。
オーブリー・ビアズリーは、繊細な筆致とモノクロの画面、世紀末の退廃的な雰囲気を漂わせた独特の世界観を展開し、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵で一躍人気となったイギリス人画家です。今回の展示の目玉ももちろんこの「サロメ」の一連の挿絵ですが、
なかでも王女サロメが預言者ヨカナーンの首を持つ「クライマックス」の前には多くの人だかりができ、撮影許可エリアの押すな押すなの大盛況ぶりにはとても驚かされました。
本展の解説を読んで面白かったのは、ワイルドがビアズリーの挿絵を「たちの悪い落書き」と評していたことです。ギュスターブ・モローの描いた優美で幻想的なサロメの絵に触発されて戯曲を発表したワイルドにとって、ビアズリーの絵柄は自分が意図していたものとあまりにもかけ離れていたからなのでしょう。しかしオスカー・ワイルドの「サロメ」と聞くと、多くの人が真っ先にビアズリーの挿絵を思い浮かべるのは、絵から放たれる強烈な力があったからに違いありません。

今回の特別展では「サロメ」の挿絵を中心に、直筆や版画など200点以上ものビアズリー作品が展示され、また浮世絵や花鳥画などこの時代のヨーロッパ芸術や文化に影響を与えた〝ジャポニズム“関連の展示も目を楽しませてくれます。
5月11日(日)まで開催されていますので、ぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか。
ビアズリーも素晴らしいですが、新緑眩しい初夏へと向かうこの季節にぴったりな絵画作品をピックアップしてご紹介いたします。
今月のピックアップ作品
川端康成の言葉をきっかけに誕生した「京洛四季」シリーズの一点、京都・修学院離宮の夏の光景を瑞々しく鮮やかに描きあげた東山芸術円熟期の傑作