【肉筆日本画】島田瑞鳳『奥入瀬に翡翠』

花鳥画の名手が、清冽な水満ちる奥入瀬の渓流美を端麗優美に描きだした吉祥の肉筆画

本作は、特別名勝にして天然記念物にも指定される青森県・奥入瀬渓流と、〝渓流の宝石‴とたとえられる翡翠を題材に、この道五〇余年の日本画家 島田瑞鳳氏が円熟の画技で丹念に手描きした肉筆画作品です。

緑したたる奥入瀬の渓流にやってきたのは輝くような瑠璃色の羽根をもつ翡翠。その美しい姿は宝石にもたとえられ、また狙った獲物を逃さないとされることから「大願成就」の象徴としても尊ばれてきました。

飛沫を上げ勢いよく流れる水面を見つめる眼差しは鋭気を湛え、今にも滑降するかのよう。

島田氏の鋭い観照眼によって捉えた自然の実相と、花鳥画で培われた細やかな筆致、優雅な色遣いにより、太古の時代より数多の生命を育んできたこの地の息遣いまでもが、一筆一筆巧みな筆運びで余すところなく描きあげられ、翡翠がもたらす吉祥の気韻とともに観る者を薫り高い芸術の世界へと誘います。

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